デジタル遺品

デジタル遺品とは、遺品となったパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に保存されたデータやインターネット上の登録情報などをいいます。

3Gサービスの終了により、シニア世代のスマホ普及が急速に進んでいます。
これにより何が困るかというと、デジタル資産の把握ができなくなるということです。
電子書籍、動画、スポーツ中継、音楽などのサブスク契約をされている方も多いのではないでしょうか?

デジタル遺品で、自分が亡くなったときに家族が困ることとして、①ID・パスワードの個人情報 ②銀行口座や生命保険の個人情報 ③お葬式の参列者 があります。

これらのID・パスワードなどを、エンディングノート、遺言書などに残しておくことをおすすめします。

相続の単純承認

相続の単純承認とは、相続人が被相続人(亡くなられた方)のプラスの財産、マイナスの財産すべて引き継ぐことをいいます。

【民法920条】単純承認の効力
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

法定単純承認

【民法第921条】
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

二 相続人が第九百十五条第一の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

相続の限定承認

相続の限定承認とは、被相続人(亡くなった方)の債務(借金等)がどのくらいあるのか不明であり、財産が残る可能性があるときなどに相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ方法。

相続人全員で家庭裁判所に申述をする。

申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならない。※注1

申述に必要な費用は、収入印紙800円分。

必要な書類

<共通>

1、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

2、被相続人の住民票除票又は戸籍附票

3、申述人全員の戸籍謄本

4、被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲   者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

<申述人が被相続人の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合>

5、被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例えば、相続人祖母の場合、父母と祖父))がいる場合、そのその直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

<申述人が、被相続人の配偶者のみの場合、又は被相続人の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合>

5、被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

6、被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

7、被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

8、代襲者としてのおいめいで死亡している方がいる場合、そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本 

※注1
相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお、相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には、相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより、家庭裁判所はその期間を伸ばすことができる。

【民法第922条】
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

相続手続き

家族が亡くなり、相続が開始すると、相続人は様々な手続きをしなければなりません。どんなことをすべきか順を追ってみていきます。

被相続人が亡くなられたら、医師から死亡診断書をもらい、死亡届と火葬許可申請を市町村役場に提出します。

葬儀を終えた後、健康保険、介護保険等の資格喪失の手続と同時に葬祭費の請求をします。年金事務所で年金受給権者死亡届を提出します。

公共料金等の名義変更、解約手続きをします。

これらが終わったら、亡くなられた方が遺言書を残していたかどうか調査します。公正証書遺言を作成していた場合は全国の公証役場で検索することが可能です。自筆証書遺言を法務局の遺言書保管所で保管されていた場合も交付・閲覧を請求することができます。これらで遺言書が見つかれば裁判所の検認手続きは不要となります。

その他の場所で遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所の検認が必要となってきます。

遺言書が残されてなかった場合は、遺産分割協議の前に戸籍謄本などを取り寄せて相続人の調査をおこないます。相続人が特定されたら、次に相続財産の調査をします。

それらが確定したら、相続人全員の遺産分割協議で誰が、どの財産を、どれだけ相続するかを決めていきます。全員で合意がなされたら、その内容をもとに遺産分割協議書を作成して相続人全員が署名、押印(実印)をします。

その後、銀行などの金融機関の口座や貸金庫の名義変更や解約をします。

亡くなった方が不動産を所有していた場合は、相続登記をします。

自動車をお持ちの場合も、相続による名義変更が必要となってきます。

配偶者居住権

残された配偶者が被相続人の所有する建物(夫婦共有でも可)に居住していた場合で、一定の要件を充たすときに、被相続人が亡くなった後も、配偶者が、賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。残された配偶者は、被相続人の遺言や、相続人間の話し合い等によって、配偶者居住権を取得することができます。配偶者居住権は、第三者に譲渡したり、所有者に無断で建物を賃貸したりすることはできませんが、その分、建物の所有権を取得するよりも低い価格で居住権を確保することができるので、遺言や遺産分割の際の選択肢の一つとして、配偶者が、配偶者居住権を取得することによって、預貯金等のその他の遺産をより多く取得できるというメリットがあります。

自己の所有する建物に配偶者が居住している場合は、遺言で配偶者に配偶者居住権を遺贈することで、配偶者居住権を設定することができます。しかし、その遺言で配偶者が配偶者居住権を取得するためには、本人が亡くなった時点でもその建物に配偶者が居住していたことが必要になります。このとき、本人と配偶者が婚姻してから20年以上の夫婦である場合は、配偶者居住権を設定しても、原則として遺産分割で配偶者の取り分が減らされることはありません。配偶者居住権に関する改正法は、令和2年4月1日に施行されてますが、この日より前にされた遺言で配偶者居住権を設定することはできません。

被相続人がによって遺言によって所有する建物に配偶者居住権を設定せずに亡くなった場合でも、その時点で当該建物に居住していた時は、配偶者は、他の相続人と遺産分割の協議をすることで配偶者居住権を取得することができます。遺産分割の協議が調わないときは、家庭裁判所に遺産分割の審判の申立てをすることによって、配偶者が配偶者居住権をすることができる場合があります。