第2回は、イズミさん55歳。大手建設会社に勤めるバリバリのキャリアウーマン。結婚歴はなく、現在はローンも完済した2LDKの分譲マンションに住み、独身貴族を楽しんでいる。イズミさんは、50歳の誕生日を迎えてから終活について考え始めた。私が将来、亡くなった後の手続きを誰にお願いすればいいのかと。実は、イズミさんには、年の離れた弟が一人いる。子どもの頃は仲が良かったが、弟は結婚してからお嫁さんの尻に敷かれっぱなしである。父の相続のときも、このお嫁さんが横槍を入れて随分とてこずったものだ。それ以来、音信不通である。自分が将来、介護が必要になった時も弟夫婦には頼りたくないと思っていた。ある日、新聞の無料法律相談会の広告が目にとまり、電話予約して相談に行った。対応してくれた行政書士の話では、遺言書を作成しておけば相続人以外に遺贈ができること。見守り契約や生前事務委任、任意後見契約、死後事務委任契約で判断能力が低下してから自らの死後の事務まで委任できるということであった。後日、行政書士事務所を訪ね、今やるべきことは何かを相談した。そこで、まず、公正証書遺言を作成することにした。自分の財産は、交通遺児を支援している財団法人に遺贈することにした。親を交通事故で亡くし、進学をあきらめなければならない子供をひとりでもなくしたいと思ったからだ。その後定年退職してから、数回行政書士と相談を重ね、見守り契約や生前事務委任、任意後見契約、死後事務委任契約の公正証書を作成した。イズミさんはホッと胸をなでおろした。